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心理学ワールド 80号 Over Seas バークレー研究留学 金谷翔子(日本学術振興会特別研究員PD) | 日本心理学会

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Academic year: 2021

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39 Profile─金谷翔子 2008 年,東京大学文学部行動文化学 科卒業。2014 年,東京大学大学院人 文社会系研究科博士課程修了。博士 (心理学)。産業技術総合研究所特別 研究員を経て,現在は京都大学大学 院人間・環境学研究科で日本学術振 興会特別研究員(PD)。専門は知覚 心理学,認知心理学。

バークレー研究留学

日本学術振興会特別研究員PD

金谷翔子

(かなや しょうこ)  日本学術振興会PDとして,2016 年5月〜 2017年4月迄の1年弱,カ リフォルニア大学バークレー校で 在外研究の機会に恵まれました。 きっかけは,2015年の夏に訪日さ れていたデイヴィッド・ホイット ニー教授と出会ったことです。視 知覚を中心に,さまざまなテーマ で精力的にハイインパクトな研究 を推進されている彼の研究室で仕 事をさせていただくことはとても 魅力的に思え,また,少しお話しし ただけでも分かる彼の温かな人柄 に惹かれ,渡米を決めました。  翌年5月,フロリダでの国際会 議への参加を終えて,直接バー クレーへ向かいました。バーク レーはサンフランシスコから橋を 渡って車で30分ほどの距離にあ る,小さな大学街です。ユニバー シティ・アベニューという目抜き 通りが街の東西を突き抜け,その 東の端,海抜が徐々に上がって山 へとつながる辺りに大学が位置し ています。キャンパスは自然に溢 れ,走り回る野生のリスや,カリ フォルニアの真っ青な空の下,芝 生で昼食を取ったり寝転がって本 を読む学生たちの姿は,いつ見て も心が和みました。  ホイットニー教授の研究室で は,優秀で個性的なメンバーたち が待っていました。最も驚いたの は,生粋のアメリカ人率の少なさ です。ほとんどがヨーロッパやア ジアからやってきた留学生ある いはポスドクで,外国人であるこ とが当たり前という環境は,私に とって大変ありがたいものでし た。研究スタイルはとてもオープ ンで,教授とはいつも,学生やポ スドクがいる部屋の隣に位置する キッチンで打ち合わせをします。 週に一度のラボミーティングも, 大きなソファのある部屋でそれぞ れ思い思いの場所に腰掛け,時に は教授が買ってきてくださる美味 しいピザを食べながら行います。  私が取り組んだ研究は,視覚に おける要約統計量知覚の機序に関 するものでした。さまざまな空間 的特徴(e.g., 物体の大きさ)につ いて,複数の物体を見て瞬時にそ の平均値を把握することができ ることが知られていますが,この ような処理が時間的特徴(e.g., フ リッカー周波数)についても可能 なのか,可能であるならばどのよ うな機序が関与しているのか,と いった問いについて,さまざまな 実験を行い検討しました。限られ た時間の中で,幸いにしてなんと か研究結果をまとめることができ たのは,常に的確なアドバイスを くださった教授と共同研究者のお かげです。無償でリサーチアシス タントを務めてくれた優秀な学部 生にも大いに助けられました。  生活面では,まず家探しの大変 さが記憶に残っています。現地で は近年,驚くべき速度で土地と家 賃の値上がりが進行しており,リ ビング/ダイニングに寝室,台所 と浴室の付いた一般的なアパート の家賃が,大学から徒歩圏内の治 安の良い地域であれば平均2000 ドル程度でした。そのため,ほと んどの学生はルームシェアをし て,パートナーや友人と一緒に暮 らしていました。私自身は,一軒 家の一室を間借りするなどして家 賃を抑えました。一方で,せっか くのアメリカ生活,研究以外のこ とも経験したいと考え,観光や友 人たちとの交流も積極的に行いま した。車で3時間ほどの距離にあ るヨセミテ国立公園でキャンプを したことや,友人たちの母国であ るさまざまな国の文化を教わった こと,各国の家庭料理をご馳走に なる機会に恵まれたことなどは, 楽しい思い出となりました。  あっという間の滞在期間でし たが,バークレー生活で得た研究 成果や,研究室内外のさまざまな 方々から学んだことは,私にとっ てかけがえのない財産です。お世 話になったホイットニー教授,研 究室の仲間たち,共同研究者,現 地の友人たち,日本からメールや スカイプ等で応援してくれた家族 や友人たちに心から感謝していま す。各国から優秀でアクティブな 研究者が集まる贅沢な環境に身を 置けたことに感謝し,意義のある 研究を発信し続けることを目指し て,今後とも努力を重ねたいです。

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